【奈良県果樹研究会レポート・昭和41年】 ナシ栽培の改善点 中吉野農改技師 岩本 賢昭 本年1月20日、本会ナシ部会が中心となり、鳥取果試津の井果樹分場長米山憲一技師を大淀町佐名伝に招き、講習会を開いた。午前中ナシ園でせん定の実地指導をうけ、午後公民館で有益なお話をきいた。講話の内容を岩本技師が速記してくれましたので、その要旨を数回に分けて掲載することにした。取りまとめにあたられた岩本技師に対し感謝の意を表します。(事務局) 鳥取とは、気象立地、栽培状況など諸条件が大分違うようで、これからお話することは、鳥取での栽培という観点から申し上げるので、皆さんの栽培経験をとおして、十分理解いただきたい。 《ナシの将来》 これからのナシ栽培については、近年ミカンブームでそれの増殖が目立っているが、その裏をかくということもよいではないか。農林省が農産物の生産事情を云々する頃には駄目になってしまう。その例は、昨年の卵価格、また豚肉価格などをみてもわかる。 佐名伝のナシ園の土地は鳥取に比較して悪いようである。また阪神に近い関係か、栽培にあたって手間掛けを尊重しすぎているようにも見られる。しかし、佐名伝のナシ収穫時期は鳥取よりも早いこと、糖度が高いことは強みである。鳥取で中程度の農家で10aあたり15L入が300箱、4,500L。袋掛け数18,000から20,000、1箱1,000円として粗収入300,000円、60%が生産費として180,000円、120,000円残る勘定になる。 《収量の問題》 1.収量は玉数であり玉太りでもある。それは、結果面積と黒斑病に最も影響するところが大きい。 2.売る時期 鳥取ではナシの開花時期がほぼ4月17日であり、佐名伝では4月10日頃ときく。早く玉太りを考えることが大切である。 《せん定について》 せん定方法については、鳥取では何々流というのがあって、何氏神様というようなもので、弁当を腰にその先生について歩いて教えてもらったり日参することからいうのである。せん定方法は時代によって変わってきている。 1.主枝に直接短果枝をつけた時代。 2.下垂枝の利用 一年で弱って使えなくなる。 3.水平枝の利用 これは新梢伸長する間は弱らないが新梢が早く出なくなってしまう。 そこで現在は、船底枝の利用をしている。即ち側枝はあくまで果実を成らせるのが役割だから、花芽の維持、果実の発育、品質、熟期などに最適なもの、つまり強からず弱からずの中庸な枝を残すよう努めたい。中庸な枝とは、枝の腰が棚面に容易に誘引できる枝、あるいは枝葉が出て自然に水平近くまで下がる程度の枝である。大切なことは、その先端がつねに優位にあって、発育枝が出る状態に保つことである。 |